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興味津々に王子様の家を観察する。
わたしもこんな家に住みたいなぁ。ステキなお姫様になりたいよ。
もう、怖さもさみしさも消え失せていた。
「何そんな、興味津々に見て。やめろよ~。恥ずかしいんだけど。」
「だってステキなお城だから。…あっ!
そ、そうじゃなくて、おうち!」
取り繕ったけど遅かった。
一瞬きょとんとしていた王子様はあっという間にゲラゲラと笑い出した。
「お、お城って。おもしろすぎだろ。君、おもしろいね。そうやってむきになってるところとか。ちょっとマヌケで。あはは!」
そんな王子様にちょっぴりムカついた。
でも、さっきまでの印象とはちょっと違う王子様が見れて、悔しいけどちょっぴりうれしかった。
「な、何よ!そんなに笑わないでよ!ばかにしないで!」
わたしが思わず反発すると、
「はいはい。怒るなって。君、名前は?」
と、無邪気に笑った。やっぱりちょっとムカつく。
ヤンチャな王子様だ。
「…七瀬 夢羽…。」
わたしが名前を告げると、王子様は、
「ふーん。そっか。夢羽か。よろしく!」
と、白い歯を見せるもんだから、
「なんでさっきまで真摯な感じだったのに今は、ヤンチャなの。」
と訊いてみた。いきなり名前呼びで、しかも、呼び捨てですか?!と、頭の中でパニクったことはバレないように。
真摯な王子様も、ヤンチャな王子様も、好きなこのには変わりないんだけど。
いつの間にか、2人の間に敬語はなくなっていた。
「え、だって、さっきは泣き虫迷子だったからさ。今は、笑顔見せてくれたし、夢羽の本当の性格分かったし。」
当然のように王子様はそんなことを言ってのけるんだから、もう。これまたムカつく。そんなこと言われたらわたしの顔はみるみるあかくなっちゃうのに。
恥ずかしくなって、ふいっとそっぽを向く。
「あ、拗ねた~。」
と、王子様が笑う声が聞こえる。この声、ずっと聴いてられると思った。
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