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おまけ 言えなかった言葉④
広大な屋敷の一室。
メイドが感慨深げに、お嬢様を見る。
「ですけど、お嬢様も大きくなりましたね」
「藪から棒に、なによ」
「そのような難しい言葉も使われるようになって。
昔は手術も言えなかったのに」
それを聞いて、お嬢様も昔を思い出すように、天井を見る。
「そうね。
そして、メイドは私が言葉をかむごとに喜んで、様々な早口言葉を言わせてきたわね」
「かわいらしいお嬢様を愛でていたのです。悪意はありませんでしたよ」
「どうだか」
「ところで、今はもう言えますか。カトリーヌ。じゃなくて手術」
微妙な漫画ネタを仕込んでくるメイドに頭痛を覚えるお嬢様。
けれど、幼いころから何度も言わされてきたのだ。
今更かむことなどありえない。
お嬢様は、その小さな胸を張り、堂々と言い放つ。
「勿論。言えるに決まってるでしょ。しゅじゅちゅ!」
「かわいい!」
メイドがもだえて、床に転がった。
結果、メイドが汚れて床がきれいになった。
後日談
「手術!ほら、言えた」
リベンジに成功したお嬢様がドヤ顔で、メイドに言う。
先ほど「しゅじゅちゅ」と言ってしまい赤面してたのが嘘のようなドヤ顔である。
胸を張り、先ほどの失敗による羞恥の熱でほてった顔で勝ち誇るお嬢様。
「かわいい!」
どっちにしろメイドは悶えた。
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