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様子が変だ
その日の午後。
兄の架名は、父に連れられて小学校から帰って来た。
何故か、怪我だらけで。
父が架名とりなの怪我を治療してから、困ったなという顔で腕を組んだ。そして母と何やら深刻そうな顔をして話し合っている。
「りな、この時間なら子供はいないから、外に遊びに行こっか」
部屋でしょげていたりなを見かねて架名が誘い、二人で近くの公園へと遊びに行った。
だが、残忍なことをするのは子供だけとは限らなかったのである。
「化け物!! 早くこの街からいなくなれ!!」
「早く処分されればいいのに!!」
そんな罵声を浴びせられて、石を投げられ、箒でピシャリと叩かれた。
まさか大人がそんなことをするとは思わなかった兄弟は一瞬呆気にとられたが、このままじゃもっと酷いことをされると慌てて自宅へと駆け込んだ。
「どこ行ってたの、こんな時に!!」
青褪めた母が携帯電話で父に連絡をしながら、帰って来た二人の息子を抱きしめた。
りなが白詰草の色を変えた広場を見に行っていた父は帰って来るなり、「また怪我を増やして」と溜息を吐いて治療を施してくれた。
包帯を巻かれる場所が、増えていく。
その父もまた、怪我をしたようだ。母の手を借りて、白い包帯を腕に巻いていた。
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