怪しい・・・

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怪しい・・・

 誰が訪ねてくるのか、子供達には知らされていなかった。  しかし架名は、世間が自分達をどう見ているのかを何となく察知していた。  その勘の良さから、りなの命が危ないのではないかという心配があることにも、気が付いてしまっていた。  ピンポーンと、家のチャイムが鳴る。  こんな時にウチを訪ねてくる人なんて、どう考えても怪しい奴だと架名は思った。だから子供部屋の窓の傍に椅子を持って行ってそっとカーテンを開けて外を覗き、誰が来たのかを確認する。  子供部屋は2階にある。玄関を見下ろす形になるから、来客には気付かれないだろうと踏んで覗いた。  玄関先に、大人が3人立っている。男が2人と、女が1人。  そのうちの片方の男が顔を上向けた時、架名と目が合った。 「!!!」  ばっと、架名は顔を引っ込める。  ――あの人、テレビで見たことある。確か、王女様と結婚した、立太子の……。  ドクドクと、心臓が拍動を速めた。こんな状況下で来るなんて、目的はしか有り得ない。  驚きも束の間、架名の目に険しいものが宿る。椅子から飛び降りて、ベッドで横になったままの綾とあやとりをしているりなを、ぎゅっと固く抱きしめた。 「大丈夫、俺が守るから。だから大丈夫だ、りな」  架名の体が、どうしようもなく震える。  ――どうやったらりなを守れる? 自分はただの子供で、何の権力もなくて、逃走しようにもお金がないから、そんなに遠くへはいけない。では、どうやって守れば良いのだろう? 「架名(かな)兄さん? どうしたの?」  コンコンッと咳をしながら、(あや)が問う。 「綾、大丈夫だから。休んでおいで」  そう言って架名は、抱きしめていたりなを離して綾に布団をかけてやると、コンコンッと部屋のドアをノックする音が聞こえた。返事をする前に、ドアが開かれる。  開かれたドアの向こうには、父が立っていた。
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