怪しい・・・

4/4
前へ
/48ページ
次へ
 牧が戻ってくると、再び人生ゲーム2回戦を行い、その後トランプに(きょう)じた。  夕食を食べる頃には、りなと綾はすっかりこのお客さんに懐いて、キャッキャと楽しそうな声を上げる。  ここ数日のことが嘘のように、お客さんが来てからは楽しい時間が流れた。 「架名、りな、綾、そろそろ寝なさい」  居間でいつまでも遊んでいる子供達に、ゲームがひと段落したところで母が声をかけると、子供達は素直にゲームを中断した。 「は~い。おやすみなさい」  お客さんにも挨拶をすると、「ああ、おやすみ」と牧が。「良い夢をね」と華菜が。「おやすみなさい」と雅史が優しい顔をして言った。  バタバタと元気に子供部屋へと戻っていき、それぞれのベッドへと入る。 「楽しかったね、綾」 「うん、楽しかった。明日は何して遊ぼう?」 「ほら、りな、綾。早く寝ないと、母さんに怒られるぞ」  年長者の架名は、そう言って弟達を寝かしつける。 「は~い。おやすみなさい、兄さん」 「おやすみ、架名兄さん」  そう言って掛布団を引っ張り上げて目を閉じる弟達を見て、架名は哀しい顔で笑った。 「おやすみ、りな、綾」  そして架名もベッドへと入る。  だが、眠るわけにはいかなかった。  りなの命を守る為に、やらなければならないことが、あった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加