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牧が戻ってくると、再び人生ゲーム2回戦を行い、その後トランプに興じた。
夕食を食べる頃には、りなと綾はすっかりこのお客さんに懐いて、キャッキャと楽しそうな声を上げる。
ここ数日のことが嘘のように、お客さんが来てからは楽しい時間が流れた。
「架名、りな、綾、そろそろ寝なさい」
居間でいつまでも遊んでいる子供達に、ゲームがひと段落したところで母が声をかけると、子供達は素直にゲームを中断した。
「は~い。おやすみなさい」
お客さんにも挨拶をすると、「ああ、おやすみ」と牧が。「良い夢をね」と華菜が。「おやすみなさい」と雅史が優しい顔をして言った。
バタバタと元気に子供部屋へと戻っていき、それぞれのベッドへと入る。
「楽しかったね、綾」
「うん、楽しかった。明日は何して遊ぼう?」
「ほら、りな、綾。早く寝ないと、母さんに怒られるぞ」
年長者の架名は、そう言って弟達を寝かしつける。
「は~い。おやすみなさい、兄さん」
「おやすみ、架名兄さん」
そう言って掛布団を引っ張り上げて目を閉じる弟達を見て、架名は哀しい顔で笑った。
「おやすみ、りな、綾」
そして架名もベッドへと入る。
だが、眠るわけにはいかなかった。
りなの命を守る為に、やらなければならないことが、あった。
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