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「素晴らしい」
そんな声が聞こえて、りなの集中力が途切れた。すると走馬灯も止まる。そっと目を開けると、辺り一面の純白の白詰草は何故か、黄色く変色していた。
「実験成功だ。この能力はどうやら何か媒体が必要らしい。さあ坊や、この間と今の違いを教えておくれ。今日は青色じゃなく黄色だった。何か意味があるのかな?」
「これ、僕が……?」
「ああそうだよ。君がやったんだ。それで、色が違うのは何でかな?」
「……さぁ?」
分からないと、首を傾げる。
すると再び鞭が飛んできた。
「ちゃんと考えて答えろ!!」
「痛い痛い!!」
「まぁまぁ。まだ4つの子供だから言葉に直せないんだろう。目を瞑っている間、いつも何を考えているのか教えておくれ」
宇宙人好々爺は、猫なで声でそんな風に聞いてくる。
「知らない風景が見える」
「知らない風景?」
「玲央くんの時は、家族で旅行に行った場所? とか、幼稚園の風景が見えた。あのおじさんは、沢山の大人がいるところで難しいことを言って、怒ってた」
ふむふむと、手元のクリップボードに挟んだ紙に書き込んでいく。
「その玲央くんは、楽しそうだった?」
「うん、楽しそうだった」
「成程成程。楽しそうだと青色で、怒っていると黄色かな」
感情に色が左右されると考えているのだろう。そんなことを口走っていた。
それからいくつか質問が飛んできたが、りなには分からないことばかりで、「さぁ?」と首を傾げ続けた。
最後に口の中に綿棒を入れられて、頬っぺたの裏をごしごしとこすられると、今日はおしまいと元の牢へと戻された。
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