大山参道

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 七村に話したことで、肩の荷が下りた。中根がふと参道のほうに目を向けると、佐々木と目が合う。手にした数枚の葉は見事に赤く染まったものばかりだ。さぞ厳選したのだろう。  中根が手を振ると、佐々木は目を逸らした。予想していなかった反応に、一瞬戸惑う。 「え、佐々木さん?」  おーい、と呼びかけると、佐々木はぎこちなく中根と七村を見た。その表情が泣きそうに歪んでいる。 「あ……ごめん、邪魔した……。ごゆっくり!」  震える声で叫び、佐々木は踵を返して走りだした。足元の落ち葉が、ムートンブーツにはねられて飛び散る。中根は唖然として立ちすくんだ。 「……邪魔?」 「ひどい勘違いだわ」  悲しげな声音で七村がこぼす。緩慢に首を振る動作に合わせて、さらさらと黒髪が揺れる。それを二往復ほど眺めてから、中根は「えっ!?」と叫んで飛び上がり、佐々木の後を追って駆け出した。
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