大山参道

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「安心してね、私、レズビアンだから」  さらりと告げられ、佐々木と中根は目を丸くした。何も言えずにいる二人を見て、七村が気まずそうに言葉を付け足す。 「だからね、奈緒ちゃんと恋愛対象が被ることはないから……あ、でも異性愛者を狙ったりしないから、奈緒ちゃんも身の危険を感じることないからね。……昨日一緒にお風呂に入っちゃったし、言わないほうが良いかとも思ったんだけど、奈緒ちゃんを無駄に悩ませるのも忍びなくて……でも誓って、やらしい目では見てないから……」  珍しく歯切れが悪い。 所在なさげに目を逸らして後ろ手を組む七村に、佐々木が思い切り抱きついた。七村は目を白黒させて、頭半分ほど背が低い佐々木の顔を見下ろす。 「え? ちょっと、私の話聞いてた?」 「聞いてた! 私のために教えてくれてありがとう……。会社でも聞いたことないし、きっと秘密にしてたんだよね、なのに……」  鼻をすんっとすすり、しゅんと萎れた佐々木だったが、次の瞬間には七村の肩をがっしと掴んでいた。 「っていうか、私、ほんっとうに見当はずれの勘違いしてたんだね!」 「あ、まあ、そうね」 「恥ずかしい! ごめんなさい!」  わっと佐々木が顔を覆った。いつもの明るい調子が戻っており、中根は胸を撫でおろした。
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