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瑛斗 Side5 友達
中二の夏休みが終わってから、あっという間に時は流れ、俺たちは中学三年生になった。
悲しいことに、俺と夏は同じクラスになることが出来ず、離れ離れになってしまった。
「瑛斗とクラス離れちまったなぁ..」
「そうだね、でも隣のクラスだから近くて良かった。」
「うん。昼休み会いにいくからな!」
「うん。夏も新しいクラスで頑張ってね。」
「おう!」
新しいクラスか..夏がいないと学校に行く意味すらないのにな...。
夏は人見知りとか全然ないから、すぐにクラスに馴染めるだろうな。
隣にいるのは、俺だけでいいのに...。
会いに来てくれるって夏は言ってくれたけど、夏も新しいクラスの友達の付き合いがあるから、前みたいに夏と話したり、遊んだり出来なくなってしまった。
「えー江戸幕府は、、~~であるから」
社会の授業が退屈すぎて、先生が話す言葉全てが、BGMみたいに耳に入っては流れていく。
夏は何の授業なんだろう。ぼーっと考えていると、
「おーい!こっち!パス!パス!」
校庭から夏の声が聞こえた。
ラッキーなことに自分は窓側の一番後ろの席だったので、外の様子がよく見えた。
夏は体育で、サッカーしてるのか。
夏は味方からパスを貰うと、一気にゴールまで走ってシュートを決めた。
相変わらず運動神経だけはいいんだよね。鈍感だけど。
まあ、そういう所がかわいいんだけど…。
「ナイスシュート!夏!今のシュートめっちゃ凄かった!」
「だろぉ!俺も入るとは思ってなかったけど(笑)」
「そこはかっこいいセリフだけで終わっとくんだよ!(笑)」
「あ、今の狙っていれたんだぜ!」
「いや、遅せーよ。(笑)」
新しいクラスで出来た友達と楽しそうに笑いあっているのを見て、良い気はしなかった。
夏の隣は俺の居場所なのに。
クラスの友達との付き合いは大切だ。
分かってる。
だけど、最近、夏と話せていない自分と比べてしまって、心の余裕がない自分にますます嫌気がさした。
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