瑛斗 Side

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瑛斗 Side

俺が夏のことを恋愛対象として、見始めたのは中学二年の夏だった。 あれは、中二の夏休み、夏と海に遊びに行った時だった。 「瑛斗!!早く!!やばい、超ーきれい!!」 気が付いたら、夏は海に向かって走り出していた。 「走ると危ないよー」 「瑛斗も早く来いよ!!うわ、つめた!気持ち~」 夏は、バシャバシャと楽しそうに泳いでいる。 けれど、僕は、海よりも、夏の水着姿しか目に入らなかった。 華奢な体つきで、白く細い腕と足首、通った首筋にあるうなじの黒子。 夏のことを知れば知るほど、夏に触りたい、俺のものにしたい.. あらゆる欲求という欲求が止まらない。 夏は誰に対しても笑顔で元気だけど、気が付いたら突っ走る。心配でほっとけない。だから、夏のそばにいて俺が見ていてあげないと……俺が…… そんな感情が、友達の一線を越えていた。 夏をそういう目で見る自分に動揺した。俺だって、最初から男が好きだったわけではない。この感情のせいで、夏との友情を壊してしまうことが一番怖かった。 だから、気を紛らわすため、なんて言い訳をつけて、告白してきた女子と付き合った。 もしかしたら、この感情はただの気の迷いかもしれない。 そんなことを思った。 けれど… 「瑛斗君ってさぁーいっつも夏君のことばっかりだよね。私と遊びに行っている時だって、上の空だし私のことほんとに好きなの?ごめん。別れて。」 「私のこと好きって気持ちがないよね。話かけても、「うん」とか「そうだね」しか言わないじゃん…別れてほしい。」 同じようなセリフで別れを告げられた。 そこでやっと気が付いた。 気の迷いなんかじゃない…… 俺は...........夏のことが好きだ... 付き合った女子には悪いことをしたけれど、自分の感情から逃げていた。言い訳を沢山作って…… 夏の事を好きと自覚してから、体育の時や放課後遊ぶ時は自分の理性と戦う事に必死だった。夏のことは大好きだけど、1番恐れていることは夏に嫌われてしまうこと… 夏が自分の気持ちを知ったらどうするだろうか。軽蔑するだろうか、いや夏は優しいからそんな事は言わないけど、困った顔をするだろう。 そんな顔を想像するだけで興奮する自分がいると思うとやっぱりこの気持ちは伝えるべきなのか。 けれど、夏の傍にはいたいし、触りたいとも思う。この複雑な気持ちに挟まれて正直辛いけれど… とりあえず、夏に自分の事を意識させる所から始めないと。 夏は鈍感だからきっと気が付かないから…まぁゆっくり…ね
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