0.0005光秒

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今見ている太陽の光は、8分前に太陽を飛び出したもので、今この時、太陽がどういう状態かは、地球からはわからない。 という話を、電車の中で、中学生か高校生と思われる集団がしていた。 あるよね。そういう話が、楽しい時期。 しかし、それぐらいにしておいた方がいい。宇宙の神秘に、それ以上足を踏み入れるのは危険だ。 宇宙の膨張はいつか止まって、いずれ収縮に向かうとか。 逆に、膨張が止まらないと、密度がどんどん下がって、何もない空間になるとか。 この世界は、高次宇宙人の行っている、シミュレーションの可能性が高いとか。 そういうことを、夜中に考え出すと、いくらでも時間をもっていかれる。 昨日もそうだった。 何をやっているんだろう。 その時間があれば、行って、帰ってこれた。 別に、自分の所から、観測できないものなんて、わざわざ宇宙規模で考えなくても、いくらでもある。 中途半端な距離にあるのがいけない。 新大阪には、2時間半で着くのに。なんか、納得がいかない。 行こうと思えば、いつでも行くことができる。 日帰りで行ける。 会社帰りだって行ける。 でも、行かなかった。 宇宙のことを考えていた。 大して会いたくないのかもしれない。 会いたかったら、会いに行くだろうから。 そして、それは、向こうも同じことだ。 なぜか、こちらから行くことになっているけど、向こうからだって、距離は同じだ。 何の問題もなく、生活が送れている。お互い。 第一日曜日には、会うことにするとか、決めたらよかったのだろうか。 今から、決めることもできる。 でも、多分、そうはしない。 二人とも、職場の近くがよかった。 スケジュールに拘束されたくなかった。 それは、何も変わっていない。 何のために、続いているんだろう。 終わりにしたら、夜中にこんなことを考えなくて済むのだろうか。 好きなだけ、宇宙のことを、考えていられるだろうか。 最終は、22時18分。 あと、5分、悩むことができる。
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