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賢者にも夢と希望を
一
「ぼくのお爺ちゃんは、偉大な賢者なんだよ」
カインのお爺ちゃん自慢が始まった。
内容は何時もこうだ「自分は何歳で、どんなひとと結婚する」だとか「何歳の時に男の子が産まれる」だとか「どんな家に引っ越して、どんな暮らしをしているか?」ということを細かいところまでぴたりと言い当てたという。
「そんなの偶然だろ」カインの話を信じない友人たちは、揃ってそんなことを口にするのだが、そんなある日、カインのお爺ちゃん自慢の内容が変わった。
「昨日さ、お爺ちゃんが予言したことが書いてある手帳を見つけたんだ。これさっ!」
カインは家で見つけた、一冊の手帳を友人たちに見せた。
「普通の手帳じゃん。やっぱりカインは嘘つきカインだ」
「嘘じゃないやい。見てみなよ、ボクのお爺ちゃんの予言がびっしりと書かれていたんだから」
「自分で書いたんだろう。信じて欲しいからそんないたずらしちゃいけないんだ。お爺ちゃんに叱られるぞ」
カインの友人たちは、証拠を目の前に見せられても、一向に信じようとはしなかった。
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