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二
その晩、カインは祖父の膝もとで泣いた。
「みんな、信じてくれなかったか。そうじゃろうの」
カインの祖父、ロインは手帳を読み返しながらニコニコと笑う。
「お爺ちゃんは、どうして先のことがわかったの? 予知能力もってるとか、未来の世界から来たひとだったりするの?」
「残念じゃが、どちらも外れじゃよ。お爺ちゃんは、未来のことを予約する魔法を使ったんじゃよカイン」
「未来の、ことを、予約?」
ロインの説明は、カインには理解出来なかったが、ロインは、カインが「わかった」というまで説明を続けた。
この日、この時間、この場所で、だれと会って、何をして遊ぶか、約束してから友だちと会うのと同じように、自分自身と約束すると現状がどうであれ、書いた通りの出来事が起こると。
「じゃあ、お金持ちになると書いたら、お金持ちになれるの?」
「金持ちになりたいのは、金持ちではないと思っているからじゃろう。それではなれない。もう一つ、カインはお金が幾つあればひとはお金持ちじゃと思っちょるんじゃ?」
「わかんない」ロインに訊ね返されたカインは、答えられず首を傾げる。
「金持ちになりたいと予約すれば、書いた通り金持ちになりたいひとになる。だからお爺ちゃんの場合は、金持ちになったとか一億ガルド貯まったとか書くと思うぞ」
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