人生の恩人

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それから、誰かが騒ぎに気づいて、担任と副担任を連れてきてくれた。 騒然とする教室、担任は自分のクラスで何が起こっていたかなんて知らない。まさか、いじめがあるなんて知らなかったか、見ないふりをしたかのどちらかだろう。 担任は、クラスメイト達を自分の席に戻るよう伝え、私は副担任と一緒に、別の使われていない教室へと向かった。 次の授業を告げるチャイムが鳴り出す。 たまたま、次の時間は、文化祭の準備についての話し合いだった気がする。でも、そんな話しなんて出来ないだろう。 私は適当な席に座った。副担任ーーT先生(仮名)は、私の席の隣に腰をかけた。 T先生は、「何かあったの?」と優しい声で言ってくる。 私は、何も話さない。話さない代わりに、今まで耐えて、堪えて来た、涙が溢れ出してくる。私は、静かに泣いた。 T先生は、「自分のペースで話して、いつまでも待ってるから」と、無理に問いただそうとしたり、無理な質問をしてこなかった。本当に待ってくれたんだ。 私は、ポツリ、ポツリと話しを切り出した。 「最初は、夏休みが明けてからでした……」
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