★序章★・・・契約、そして旅立ち 《4話・三人組》

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★序章★・・・契約、そして旅立ち 《4話・三人組》

 ここは城下町と村とを結ぶ道沿い。一人の女性がウロウロしていた。 「ん〜、多分この辺りだと思ったんだけどなぁ。あ〜あ、私としたことが迂闊にも見失うなんて……」  この女性はコトネ=ハープ、十七歳。雷属性の魔導師である。  辺りを見渡していると目の前に立て札がありそれを読んでみた。 「さてと……立て札には、この先ディクス村って書いてあるけど?」  どうしようかと考えていると、グウゥ~っとお腹の音が鳴る。 「お腹すいてきた。んー、そうだなぁ。もしかしたらアイツ、そこにいるかもしれない。ってことで行ってみるか」  そう言うとディクス村に向かって歩き出した。 (それにしても……私のことを助けてくれたアイツ。確かに炎に焼かれてたはず。それなのに光に包まれ、その中から出てきた)  その時のことを思い出している。 (そして、どこからか女の人が現れた。どうも納得がいかないのよね)  コトネは自問自答していた。 (ん〜、だけどアイツが何者かを調べて、もし悪いヤツじゃないようなら……。ただ、かなりアホそうにみえたけど大丈夫かな?)  そう思い歩いていると後ろから二人組の男女が話をしながら近づいてくる。 「あら、珍しいわね。お子様が一人で、こんな所を歩いているなんて」 「誰かと思えば、サアヤにフリックじゃない!」  コトネはそう言い二人をみた。 「てか、前にも言ったけど。私は、お子様でもガキでもない‼ ちゃんとコトネ=ハープって、可愛い名前があるんだからね」  ムッとした顔でコトネはサアヤをみる。 「それにこれでも、もう十七歳になったんだから!」 「おいおい、お前が可愛いって? 怖いの間違いじゃないのか」 「……フッ、フリック⁉」 「ハッ‼」 「こんな可愛い私に対して、怖い? ねぇ、そんなに雷に撃たれたいのかなぁ」  そう言いながらコトネは、フリックに近づいた。 「えっと、可愛い可愛いコトネちゃん。子供みたいなコトネちゃん」  コトネはそう言われ頭に血がのぼる。  《サンダーボム‼》  呪文を唱えるとフリックに雷の弾が直撃した。 「フリック⁉ 子供でもないってさっき言ったよね?」  コトネは、もう一撃の準備をする。 「コトネいい加減にしろ⁉ そういう所が、子供だと言うんだ」  サアヤは呆れた顔になった。 「はぁ〜、ごめんね。つい気にしてること言われると」 「すまん! まぁ俺も悪かった」 「それでコトネ、なぜお前がここにいる? 確かギルドの依頼で、仲間と洞窟の探索に行っていたんじゃなかったのか?」 「サアヤ、そうなんだけどね」  コトネは理由を話し始める。 「途中までは、難なく進めたんだけど。何か分からない力が働いていて先に進めなくなってね。一緒に行った仲間と、どういうわけかはぐれちゃってさ」 「それはどういう事?」 「それがさぁ、私にも分からないんだよね。まるで洞窟が生きているみたいで、仲間たちも目を離したすきに消えてたし」  その時のことを思い出し身震いした。 「ほぉ、そんな不気味な洞窟があるなんてな」 「本当にそんな洞窟が実在するとしたら、下手に近づくのは危険かもしれない。それでギルドに報告したのか?」 「サアヤ。ギルドには報告したけどね。そのあと城から呼び出されて行った。その帰りに王国の兵士に囲まれ、危うく殺されかけたんだ」  そを言うと、コトネは真顔になり俯く。 「あの時、アイツが助けてくれなかったら危なかったんだよね」 「ふぅ〜ん、そのアイツって誰だ?」 「フリック、名前は知らないんだけどね。ただアイツは、自分は弱いのに私を助けてくれた。だけど、どんだけ間抜けなのか捕まった」  そう言うと少し間を置き再び話し始める。 「……そのあと心配でみにいったら炎に焼かれてた。それで死んだと思ったんだけど、光に包まれ炎の中から出てきたのよね」 「光に包まれ、って……まさか⁉」  そう言うとサアヤは、鞄から手配書を出しコトネにみせた。 「あ〜、そうそうコイツだ。確か、そのあとどこからともなく女が現れた。私は面白そうだったからあとをつけてたら途中で見失っちゃったんだよね」 「なるほど。私たちも、このブラットという男を探している」 「もしかして、傭兵ギルドの依頼?」  そうコトネが問いかける。 「それは違う。依頼は受けてはいない。だがコイツが神と、なんらかの関係を持っているとしたら。俺たちは会う必要がある」 「神って⁉ ん〜、そう言えばね。確かにアイツ、アホそうだったけど普通じゃなかった」 「あまり人のことをアホと言っていると、お前がそうなるぞ」  サアヤは真顔でコトネを叱った。 「だってね。二人も会えば分かると思うよ。見た目は悪くないんだけどね」 「なるほど。まぁ確かに、どんなヤツかは気になるな」  そうフリックが言うと二人は頷く。  そしてその後、三人は歩きながら話をしディクス村へと向かったのだった。
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