★序章★・・・契約、そして旅立ち 《5話・皇帝と謎の男》

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★序章★・・・契約、そして旅立ち 《5話・皇帝と謎の男》

 ここはシェイナルズ城内にある教会。  皇帝マグドと青の聖衣を着た男は、聖職者たちの部屋で話をしていた。 「このままでは、新たな王が生まれてしまいます。ただ、この国ではなく別の場所にですが」 「うむ。お前は、神からのお告げを聞いたのだったな?」  青の聖衣を着た男は頷く。 「はい、間違いありません」  その時のことを思い出しながら話し始める。 「神は……“シェイナルズの遥か先の大地に国が誕生する。王になる者は魔導師たちを導きたる者。その者は人間と魔族の血を継ぐ者なり”……と、言っておりました」 「本当に、そう言っていたのだな? だが、今までそれを阻止するためにあらゆる方法を尽くし探してきた」  そう言いながら窓の外に視線を向けた。 「まさか、あのガルドの息子が新たな国の王になる者だと言うのか」 「申し訳ありません、迂闊でした。ガルドの素性は、知っていたのですが。彼が英雄王の座を降りた理由までは知りませんでした」 「もしかすれば、お前の力が及ばないなんらかの力が働いていたのかもしれんな」  そう言うと青の聖衣を着た男の方を向く。 「皇帝陛下。私はこれからそのブラットという男を……」 「ブラットは殺すな! 確かに力がない今のうちに始末しておいた方が良いのだろう。だが、あのガルドにへそを曲げられても困るのでな」 「では、いかがなさいますか?」  そう青の聖衣を着た男が問いかける。 「そうだな。……上手く阻止し、ここに連れてくることは可能か?」 「恐らく、それは難題かと。ですが、そうですね。ブラットという男、噂ではかなりのお人好しと聞いています。それを上手く利用すれば」 「うむ、そうだな。あとはお前に任せる」  青の聖衣を着た男は会釈しその場を離れた。  それを確認したあと皇帝マグドは窓の外をみる。そしてディクス村の方へと視線を向けた。 「まさかあのブラットがな。あの時、死なせずにすんで良かった。もしあそこで死んでいたら、あのガルドに何を言われていたか」  マグドは、ハァと息を漏らす。 「だが、これからどうしたら……よりによってこんな事態になるとはな」  そう言うと拳を握りしめ苦痛の表情を浮かべながらその場を離れた。
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