十八 会議出席依頼

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 午後九時を過ぎていた。 「なんだ、あれ?」  タエは通話が切れたパソコンのディスプレイを顎で示した。今さら、株主たちは何をしようと言うのだろう。 「うん、鞠村まりえも、本田孝夫も、本田康夫もいなくなったんだ。  自分たちで新しい人事を決めりゃあいいべさ。  人選なんか、銀行や取引先の商社なんかから、いくらでもできる。  いったい、株主たちは何を企ててるんだベ?」  そう言いながら、ケイは考えこんだ。 「指輪かな?だけど指輪の話に乗ってこなかった。三百万より大事な事なんだべな」  タエはコタツの上の指輪ケースを見た。ケースのフタが開いたままになっている。中にあるルビーの指輪は確かに綺麗だ。だけど、実生活には何の役にも立たない。綺麗なだけだ・・・。  タエはケースを閉じて、自分が株主ならどうするか考えた。 「指輪は関係ねえべ。アイツ、タエが言うまで、指輪の話なんかしなかった。  目的は別ださ・・・・」  ケイはそう言ってなおも考えている。 「考えててもなんにもなんない。お風呂に入って寝よか?」  タエは考えるのをやめてタエに微笑んだ。 「ああ、そうだね。いっしょに入ろか」  緊張していたケイの顔に、いつもの笑みが浮んだ。 「うん、背中洗うよ」とタエ。 「頼むよ」 「湯上がりに、湯豆腐で一杯やろうか」とタエ。 「いいねえ」  二人は入浴と湯豆腐の準備をはじめた。
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