二十 想定人事

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「ああ、宝石の事、すっかり忘れてたぞ!  近藤さんも忘れてたんだ。何でだべ?」 「社長の人選は、三百万より遥かに重要だったんだべな・・・」  ケイは、鍋からゴボマキと野菜を小鉢に取って食べている。 「会議は妙なふうに踊ってるんか。  会議は踊る。されど進まず。ウィーン会議だな・・・」  タエもイカ巻と野菜を小鉢に取って食べている。 「方針が決らねんだべな・・・」  ケイがグビリとお酒を飲んだ。 「この話、盗聴されてんね・・・」  タエもグラスを取ってお酒を飲んだ。 「気にするこたえねえべさ」とケイ。 「はい、飲んで・・・・」  タエが日本酒のボトルを持ってケイに差しだした。  ケイは半分ほどになったグラスをタエに差しだした。  タエはケイのグラスにお酒を注いだ。 「おっとととと・・・」  ケイのグラスがいっぱいになった。  ケイはグラスを置いてタエからボトルを受けとった。 「はい、タエも・・・・」  ケイがボトルを差しだした。  タエは、お酒が半分ほどなっているグラスを、ケイに差しだした。  ケイはグラスにお酒を注いだ 「おおおっ・・・。これくらいにしねえと、二日酔いだべ!」  タエは笑いながらそう言った。 「アハハッ!ぜんぶで、グラス一杯半くらいだべさ。  だけんど、きついなあ~まわったべさ~。  おでん食ってんのに、きくね~」  ケイも笑っている。 「はい、きいてますねえ~」  タエも笑った。  雪の夜はゆっくり更けゆき、雪雲の合間から月光が射しこんで、雪が小降りになっていた。
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