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平凡な日常
まさか、私の人生にあんな事が起こるなんて想像していただろうか。
「恋したい……。最近、初々しいカップル見てると楽しくなっちゃう。」
「やめてよ、おばさんみたいな発言。まだ、23でしょ。」
「でもさ、恋したくない?ドキドキラブラブな恋♡」
「まぁ、仕事も恋も充実している方が人生楽しいし、勝ち組だもんね。」
「そうでしょ⁉︎ね、今度の休み街コン行かない?」
「街コン?合コンの次は街コン?」
「だって、恋したいんだもん。彼氏と別れてもう3年だよ?人恋しい、寂しい!」
「私がいるじゃん。」
「いや、女同士でズルズル慰め合うとか支え合うとか、絶対男、近づいてこないから!彩葉(いろは)は恋したくないの?」
「そりゃ、したいよ。でも出会いないし。」
「だから、街コン!今週の土曜日空けといてよ!絶対に行くから。」
仕事の昼休みは、大抵恋バナが多い。
紗季(さき)とは、大学の頃にゼミが同じで仲良くなり、今では親友と呼べるまでの仲になった。
そして、就職先も同じにした。
お互い何かをしたいと言う目標がなかったから事務の職に就いた。
紗季がこんなにも恋がしたいと言っているのは、大学時に付き合っていた彼氏に振られたからだ。
そいつは、紗季とは遊びの恋だったと紗季を振った。
振られた1週間は、毎日のように泣いていた。
今度は、ちゃんとした恋をしてほしい。
「時田さん、これの入力もお願いね。」
この会社に入ってやっと1年が経った。
まだまだ、覚える事が多くて彩葉には恋をしている余裕はない。
「出来ました。チェックお願いします。」
「早いね、時田さんは。」
ありがとうございます、とデスクへ戻ろうとしたら、ニタニタ笑う紗季が近づいてくる。
「早いですね〜。仕事はバリバリ出来るのに何故恋はバリバリ出来ない。」
同い年とは思えない発言をして静かに去って行った。
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