婿養子ですから

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婿養子ですから

「ハルト様…ハルト様。起床の時間です。」  肩を優しく揺さぶられながら、僕は目を覚ます。  僕を上から覗き込むように見ているメイラちゃんが視界に映りました。 「おはようメイラちゃん。起こしてくれてありがとう。」  僕は抱き付いて寝ているアイザを揺り起こしながら、体を起こす。 「ほら、アイザも起きないと。今日は、狩猟の見学に行くよ!」 「ん~わかったからぁ~。もうちょっとだけ…ねかせて…」  僕に抱きついたまま目を開けない下着姿のアイザを、僕は抱き上げてベッドから降りる。 「パトルオさん達が出発しちゃうから。はい、お茶飲んで眼を覚ましてね。」  アイザを、朝食が準備されているテーブル席に座らせた僕は、寝着から自分の服に着替える。 「んぁああ~はぁああ…みんな早すぎなのよ。」  やっと目を覚ましたアイザが朝食を食べ始めた。 「メイラちゃん、おまたせ。僕達も食べようか。」  僕の着替えを手伝ってくれていたメイラちゃんと一緒に席に座り、手を合わせる。 「「いただきます。」」  レイグリッド城の朝は早い。  特に、食を扱う職の大人達は太陽が上がる頃には仕事を始める。  なので、職場見学をすると決めていた昨日は、メイラちゃんのお父さんのウォームさんの鍛冶を見学したのです。  昼からは菜園や果樹園、家畜舎にチーズやソーセージ等を作る工房を見て周りました。  狩猟見学に行きたいって、事前に話していなかったのもあるけど、アイザが起きれなかったからね。  だから今日は、いつもより早い時間に起きれるように、メイラちゃんに頼んだのです。  朝食を済ませた僕達3人は、竜舎に向かう。  竜舎といっても、厩舎のように小部屋で仕切られた建物ではなく、自然に出来たような大きな洞窟でした。  洞窟内は、所々から突き出ている光る水晶で青く照らされていて、ドラゴンが各々好きな所で寛いでいるのが見える。  この洞窟内には、レッドドラゴンとグリーンドラゴンが住んでいる。 「ドドちゃぁ~ん! 背中乗せてぇ~!」  アイザの呼び掛けに数体のドラゴンが起き上がり、ゆっくりと近付いてくる。 「今日は、3人一緒なの。だから、あなたにお願いするわね。」  アイザが一番大きいドラゴンの頭を撫でると、残りのドラゴン達が戻っていく。  それから、アイザの後を付いてくるドラゴンと一緒に洞窟の外に出ると、太陽に照らされたドラゴンは、真っ赤な色をしていた。 「実際に見ると凄いね。これが野生のレッドドラゴンなんて…」  竜舎は城を建築した時に作った人工物だけど、この中にいるドラゴンの半分ほどは、野生のドラゴンに声を掛けて住んで貰っているだけとか…信じられません。
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