<第二章:闇の凶戦士>

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「これはよい」リリスは上機嫌だった。  「アホウ鳥の翼」号は好天の中を快調に進んでいた。 「うう・・・」対照的に船酔いに苦しんでいたのがグランツである。 「リリス様・・・帰りは陸路に致しましょう」 「何を言う。海路の方が早く、安全と言ったのはそなたでないか」 「しかし・・・うっ」グランツは、舷側に行って吐いている。一刻も早く陸に上がりたい気分だった。 「リリスさん」船長が現れた。 「物は相談だが、このままクレンツに向かうには食料と水が心細い。ガビーに寄って仕入れたいが、如何な物か」船長は、やけにかしこまっている。 「それはかまわん」リリスは、即答した。 「ありがとうございます」ゾロンはにこにこと頭を下げた。 「また船長、あの店へ行くんで」デューンが口を挟む。 「う、うるせえ。余計なことぬかすな」 「あの店?」ルーンがつっこむ。 「船長は、ガビーに行きつけの店があって、そこの女主人は」 「黙れ!それ以上言うんじゃねえ」ゾロンが、デューンを黙らせる。 「そういうことか」 「まあ、その」ゾロンはしどろもどろだ。 「どちらにしろ食料と水は心細いのだろう。一度ガビーに寄ろう。もしかしたらクウの情報が手に入るやもしれん。それに・・・」  リリスは、グランツの方を見た。 「グランツも、少し不憫なのでな」 「かたじけのうございます・・・面目ない・・・」  グランツは、真っ青な顔をして頭を下げた。
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