一話目「でも、私は目を背けた」

1/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ

一話目「でも、私は目を背けた」

洋服屋で見かけた、魔女の服。 最近人気の魔女っ子アニメの主人公の衣装が、子供コーナーに飾られていた。 私は、ぎゅっと手を強く握りしめる。 昔なら、クラスでも退かれるほどの魔法大好きオカルトオタクの私なら、小さい子をかき分けてでもしがみついて見つめるような、そんな服だ。 でも、私は目を背けた。 最近、こういう商品やお店がいやというほど目に入る。 こういう時に限って、目に入るのだ。 私は何も見たくない。 バカげている。 どうしてみんなは、魔法使いが出てくる話をやたら読みたがるのだろう。 魔法なんて、この世に存在するはずがないのに。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!