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二話目「ねえ、魔法って信じる?」
でもある日。
その光は、導きは、突然消えた。
私の前から。
私の目の前で、瞬きをするのと同じくらい短い間の出来事だった。
そのたった数秒間が、奪ったのだ。
私にとっては魔法よりもずっとずっと大切だった、きいちゃんの命を。
大切だった。
宝物だった。
きいちゃんの命も、その顔も、髪も、手も足も、そして私との友情も。
絶対に守ろうと、気づかないうちに心の奥で思っていたのかもしれない。
いや、絶対にそうだ。
だって私は知らなかった、誰かが自分の目の前で消えることが、あんなにも辛くて悲しくてひどいことだって。
涙で目が真っ赤に充血して、腫れあがって、自分の手が震えているのを見るまで、私は自分がきいちゃんをどう思っていたのかわかっていなかった。
本当にバカだった。
もうきいちゃんのあの目と声は、私にささやいて、笑いかけてはくれない。
戻ることなんてない。
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