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「き、って何?あなた、魔法を信じてるのか、聞いたんだけど……。」
魔女の格好をしたその女の子は、髪の毛をいじりながらそう言った。
「ミャオォ?」
黒猫も、ジッと私を見つめる。
「……何なの、あなた達!ふざけた格好して、いきなり魔法を信じてるかだなんて、冗談じゃないわよ!からかってるの!?」
私の大声に、周りの人が数人振り向いたが、すぐさま通り過ぎた。
「ちょっと、聞いてるのよ?」
「私だって聞いてるわ。魔法、信じてるんでしょ?」
「……!」
私はくるっと振り向き、そのまま帰ろうとした。
もうこれ以上、こんなふざけた子と一緒にはいられない。
「ねえ、どこ行くのよ?」
…でも、女の子は私の腕をつかんだ。
「ちょっと、放してよ。私はもう帰りたいの。」
「ダメよ、私はあなたと話したいんだから。」
女の子がそういった途端に、辺りが真っ暗になった。
「え!?な、なにこれ!?」
「静かにして、すぐ終わるわ。」
女の子はひどく冷静で、落ち着いている。
「何でもいいけど、早く放して!」
「あと二秒待って。」
女の子がすました顔で言ってからすぐあと、暗い空間は消え、そのかわり見たこともない景色が広がっていた。
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