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 それからは、スカイプのビデオ通話機能でお互いの顔をパソコンの画面越しで見ながら、能力の開発を続けた。  弘嗣はああ言ったが、距離の問題は大きかった。彼がパソコンの前で全裸で横たわり、準備万端の格好をしているというのに、私はいつまで経っても彼に触れるという感覚を捕まえることができなかった。  最初の頃はスカイツリーのように雄々しくそびえ立っていた弘嗣自身が、気が付くとただの皺の塊のようになっていた。  それを見て私がうなだれていると、彼は自分の手で自分の身体を弄りだし、いつしか弘嗣の弘嗣自身はスカイツリーとまではいかないものの、東京タワーくらいの存在感を醸しだしていた。  照明に照らされて赤く光り輝く東京タワーに見とれていると、弘嗣はそれを乱暴に上から下に、下から上へとしごきだした。その力は徐々に力強さを増し、最後には弘嗣の弘嗣自身は富士山のようになって、そして噴火した。  彼の息は荒く、全身は波打ち、弘嗣の弘嗣自身は再びただの皺の塊に戻っていた。彼の裸の腹の上には白濁とした湖が出来ていた。  弘嗣の何かをやり遂げた後のような表情。そしてどこか虚ろな目。それを見ているのが辛くて、私はそっとパソコンの画面を閉じた。
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