1/1
前へ
/8ページ
次へ

 それからは、画面越しでの蜜月が始まった。弘嗣のボクサーパンツを穿いている限り、すぐ目の前に弘嗣がいるかのように感じることができた。私は何度穿いても弘嗣のパンツを洗わなかった。洗ってしまうと不思議な力が消えてしまう気がして怖かった。  弘嗣のパンツを穿いていると、弘嗣の身体が体感している喜びを感じることができるようだった。  そんなある晩のこと。その日は会社で飲み会があるということで、早くから弘嗣のボクサーパンツを穿いてスタンバっていた。  飲んだ夜決まって彼は私を求めた。  しかし、飲み会が終わったであろう23時頃、ラインを送ってみたが既読がつかない。  私の身体は何故かそのとき火照っていて、それが嫌な想像をかき立てた。  弘嗣のボクサーパンツを穿いている私が火照っているということは、遠く神奈川にいる弘嗣も火照っている。そんな気がした。  再びラインを送るが、やはりいつまで経っても既読がつかない。  私はそっと目を瞑り、弘嗣のボクサーパンツを穿いたままその場に寝転んだ。  そして、あの感覚を呼び覚ます。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加