*僕はそれを我慢できない

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 理人(りひと)は片手で自らのネクタイを(くつろ)げると、上から数個だけボタンを外してワイシャツを脱ぎ捨てた。  エアコンのきいた部屋の中にいて、汗はひいているけれど、日中は仕事でそれなりに汗をかいた。  葵咲(きさき)と違って自分はまだ入浴前だし、今日は口でしてもらうのはやめておこう、と考える。  理人は「お願い。口でして?」と()うと、躊躇(ためら)いがちに自分のものを口中に含んでくれる、恥ずかしそうな葵咲の顔を上から見下ろすのが結構お気に入りだったりする。  でも、今日はお預けだ。  お風呂上がりでいつもに増してしっとりした葵咲の肌に指を滑らせながら、肌蹴(はだけ)させた胸の弾力を確かめるようにゆっくりと揉みしだく。  あまり強く握りすぎると、白くて綺麗な葵咲の肌にあざが残ってしまいそうで、ギュッと握りたい衝動を抑えるのに、理人はいつも心の中で葛藤していたりする。 (すべすべだ……)  押せばぷるんと跳ね返ってくる、でも決して硬いわけではない葵咲の胸の柔らかさが、理人をこの上なく魅了する。  チュッと音を立てて葵咲の舌を吸い上げると、理人は唇を胸の方へと下ろした。  わざと吐息を感じさせるように、肌の上で息を大きくつきながら、愛らしい(いただき)を目指す。  首筋や鎖骨のあたりも葵咲のいいところなのを心得ているので、その辺にも念入りに舌を這わせて彼女の肌を粟立たせながら進んでいく。 「あっ……ん」  唇を解放したことで、葵咲は声を抑えられなくなって、理人がほんの少し強めに肌に吸い付くたびに甘い嬌声(きょうせい)を漏らすようになった。  それを恥じらって、葵咲が唇に手を当てる様が、初々しくて心の底から(いと)おしいと理人は思う。  でも、理人はそんな葵咲を(はずかし)めるのも性癖のようで、どうしてもその手を封じて(いじ)めてみたくなってしまう。
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