出会いは唐突に

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「男の子かぁ〜」  子猫のお尻のあたりを確認してそう(つぶや)いた理人(りひと)に、葵咲(きさき)は瞳を見開く。 「理人、性別わかるの?」  聞けば、「絶対とは言い切れないけれど、多分オスだと思うよ?」と言われた。  どうやら肛門と尿道口の距離が決め手らしい。 「この子は離れてるから多分男の子」  葵咲は理人がそんなに猫に詳しいなんて知らなくて、驚かされるばかりだ。 「え? 言ってなかったっけ? この、美人さんで目が大っきくて、ちょっと吊り気味な感じがさ、アーモンドアイのキミみたいで(たま)らなく好きなんだよ、昔から」  結局はそこか!という発言に、葵咲は思わず吹き出してしまった。 「ねぇ理人、私、猫なの?」  聞けば、「犬じゃないのは確かだろ?」と返ってきて妙に納得させられてしまった。 「それでね、その子の名前なんだけど…“セレ”とかどうかなぁ?って……」  恐る恐る言うと、「何でセレ?」と聞かれて。  あー、やっぱり由来、聞きますよね?と思って、葵咲はどうしよう?と固まってしまう。  と、そこで来客を知らせるチャイムが鳴って、葵咲はこれ幸いとインターホンに駆け寄った。
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