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*僕はそれを我慢できない
子どもの頃からずっとずっと恋い焦がれてきた憧れの女の子、丸山葵咲と一緒に住むようになってから、池本理人は毎日昼夜を問わず彼女を求めずにはいられなくて……正直自分でもまずいな、と思っていた。
(葵咲ちゃんが体調の悪い時や女の子の日は別として、それ以外毎日必ず彼女のこと、抱いてるんだよね、僕……)
葵咲は何も言わないけれど、心の中ではいい加減にして欲しい!とか思っていたりしないだろうか。
ふとそんなことを考えて、理人はドツボにハマりそうになる。
それに――。
何よりも葵咲はまだ学生だ。
彼女が卒業するまで、避妊は絶対条件だとして……そういう行為をしている以上、子どもができる可能性はゼロではないわけで。
(僕は彼女との子どもを、今はまだ望んでいない……)
もしも万が一のことが起こったら、葵咲の人生をめちゃくちゃにしてしまわないだろうか。
そんなことを思うと「自粛」の二文字が頭の中をちらついて。
「理人ぉ〜、お風呂空いたよー?」
いつもなら一緒に入るお風呂も、今日は「たまには一人でゆっくり入っておいで」と我慢した。
でも――。
(あ、シャンプーの香り……)
長い髪をタオルドライしながら、パジャマ姿で葵咲が自分の前を通過すると、どうしても手を伸ばしてしまう。
思わずソファから立ち上がって、まだ湿ったままの葵咲の髪の毛に手を伸ばすと、理人は彼女の髪の毛に口付ける。
それはもう、半ば無意識に。
「理人?」
髪の毛を引っ張られて立ち止まった葵咲が、上目遣いで理人を見上げてきた。
「ドライヤーかけなきゃ、なんだけど……暑くって。ちょっとだけ涼んでから、ね?」
パジャマにしているカットソーの胸元を引っ張ってパタパタと風を送りながら、葵咲が言う。
上から見下ろしている関係で、首元の隙間から葵咲の白い乳房のラインがちらりと見えて、理人は目のやり場に困った。
(これはもう、挑発されているとしか思えないんだけどっ!)
さっき、「自粛」の二文字を思い浮かべたくせに、その上に「無理」の二文字がドン!と乗っかったのが分かった。
理人ははぁーっと大きなため息をつくと、葵咲の手をグイッと引っ張った。
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