葵咲、服脱いで?

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 すると、それに()れたように理人(りひと)が「何で左腕、見せてくれないの? 見せられない何かがあるの?」と聞いてきて。 「あ、あの……」  葵咲(きさき)はどうしたらいいのか分からなくなって泣きそうになる。  実際視界が涙で滲んできているのが分かって、葵咲は瞬きを我慢した。  (またた)いてしまえば、涙が(あふ)れてしまいそうだったから。 「葵咲。僕はキミを泣かせたいわけじゃない」  ややして、理人はそう言うと、葵咲の目元を指の腹でそっとぬぐった。  ギリギリのところで堪えていた涙が、理人の指に移って、葵咲の目元を濡らす。  理人はほぅ、っとひとつ吐息を落とすと、肌を露出したままの葵咲の右腕に、ワンピースを着せ掛けた。そうして(くつろ)げられたままのボタンを丁寧に留めてから、「ごめん」と謝った。  そのあと、もう一度葵咲に先程とは違って優しくついばむように口付けると、「セレのもの、買いにこう。あの子が眠っているうちに」  彼女の耳元で、そう囁いた。
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