*僕はそれを我慢できない

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「えっ、ちょっ、理人(りひと)!?」  突然理人に手を引かれて、葵咲(きさき)が驚いたように瞳を見開く。  それでもさしたる抵抗も見せずに理人の腕の中にまんまと収まってしまったのは、常日頃から彼に翻弄(ほんろう)され尽くしているからだろうか。 「ねえ理人、濡れちゃうよ?」  ソファに押し倒された葵咲が、眉根を寄せて理人を見上げる。  タオルドライしかしていない彼女の長い髪の毛はしっとりと濡れそぼっていて、ともすれば水滴がしたたるほどで。そのまま寝そべれば、確実にソファの生地を濡らしてしまう。 「葵咲、濡れちゃうのはソファだけ?」  彼女の言葉を軽く受け流してクスクス笑うと、理人が葵咲に顔を寄せる。 「バカ……」  つぶやかれるように吐き出された、照れを含んだ葵咲の声を唇ごと(ふさ)ぐと、理人は葵咲の胸元へ手を伸ばす。  お風呂上がり直後の葵咲は、まだブラジャーをつけていなかった。いつもなら就寝時には簡易的な夜用のブラをしているはずなのだけれど、今夜は涼んだ後に、とか考えているのだろうか。  理人は彼女の胸をカットソーの薄い生地越しにやんわりと包むと、先端の突起を探り当てて軽くこするように刺激する。 「んっ」  途端、葵咲の口から甘やかな吐息が漏れて、理人が下唇を()むように葵咲の唇を刺激すると、それに応えるように薄く唇が開かれた。  理人は下唇を軽く舐め上げるようにしながら、葵咲の口中へ舌を侵入させる。  そのタイミングで乳首をこすると、 「あんっ」  (たま)らないと言わんばかりに葵咲が身動(みじろ)いで、理人にしがみ付いてきた。  理人は葵咲の服を下から少しずつ捲り上げながら、彼女の口中も舌で犯していく。  お風呂上がりの葵咲は、いつもより体温が高めで、口の中も熱かった。  すべすべとした彼女の舌を自分のそれで絡め取ると、葵咲はぎこちなく求めに応じてくれる。  何度肌を重ねても、初々しい反応を返す葵咲が愛しくて、何度抱いても初めて肌を重ねたように理人は彼女に夢中にさせられる。
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