*僕はそれを我慢できない

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 理人(りひと)は濡れていない方の手で葵咲(きさき)の頬を(かす)めるように撫でてから、彼女のとろんとした目元にキスを落とす。そうしながら、もう一方の手で葵咲の秘芽(ひが)を優しく愛撫した。 「ぃあ、ん……っ」  それは中をかき回されて敏感になっている葵咲への、最後の一押しで。 「……理人……、お願い……っ」  理人の思惑通り、モジモジと両膝(りょうひざ)をすり合わせながら、葵咲が切なげにおねだりをしてきて。  半ば無意識のように伸ばされた葵咲の手が、自身の敏感なところへ伸ばされた理人の手におずおずと触れた。 「葵咲、キミは本当に可愛いね。僕は葵咲になら僕の全てを吸い尽くされても構わないと思ってるよ」  言って、理人は葵咲に見えるように(おのれ)のスラックスに手を伸ばすと、ベルトを外して、ズボンの留め具を緩めると、わざと焦らすようにゆっくりとファスナーを下ろす。  布越しでも理人のそこが固く張り詰めていることは容易に(うかが)い知ることが出来た。前を(くつろ)げて、苦しげに押さえつけられていたモノを掴み出して開放してやれば、理人がどんなに彼女を求めているかが、葵咲にも分かるだろう。  理人が握り込んだ屹立(きつりつ)を見て、葵咲が息を飲んだのが分かった。  その様を、理人に見下ろされるようにして見られていることに気が付いたと同時に恥ずかしそうに視線を外すのも、この上なく愛しい。  葵咲は、自分が何度コレに(つらぬ)かれたか、分かっているんだろうか?  今更そんなに恥じらって、目を()らすこともあるまいに。  理人はそこまで考えてから、(もっと)も自分は葵咲のそういうスレない初々(ういうい)しさに惹かれているのだと思い至って苦笑する。  恥ずかしがってくれるからこそ、(いじ)甲斐(がい)もあろうというもの。 「葵咲……」  自身の(たかぶ)りを握り込んでゆっくりと上下させながら、葵咲の耳に切なげな吐息を吹き込む。 「理人……口で、する?」  そんな理人にも、葵咲が恐る恐る問いかけてきたこの言葉は想定外で。  理人は葵咲の凶悪な一撃に、思わず顔を(おお)ってクスクスと笑った。  それはやめておこう、とさっき決めたばかりなのだ。思わず「だったら……」と葵咲の口を割りたくなるのをグッと(こら)えて、理人は葵咲の唇に軽い口づけを落とす。 「いや、今日は……すぐにでもキミの中に挿入(はい)りたいから……それはまた次の機会にお願いしようかな? 葵咲だってこれ以上お預けを食らうのは嫌だろう?」  問えば、葵咲がコクン、と小さくうなずいた――。
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