*僕はそれを我慢できない

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 理人(りひと)はソファ横に置いてあるテーブルの引き出しからスキンをひとつ手に取ると、葵咲(きさき)を見下ろしながら封を切った。  理人の手の中のゴムを見た葵咲が、この先に起こることを想像したのか、頬を赤く染めて視線を()らす。  理人はそんな葵咲を心底愛しいと思った。求めれば理人の想像以上に応えてくれるくせに、基本的に――スイッチが入らない限り――葵咲はずっと(うぶ)なままだ。  気が強いくせに色恋の話になると途端弱気で。そのギャップが理人を刺激する。  中身を手に持って裏表を確認して自身にあてがうと、理人は恥じらって顔を横向けている葵咲を自分の方に向かせて優しく口付けた。  うっとりと理人の求めに応じて唇を薄く開く葵咲に、理人は彼女の期待通り口中に舌を差し入れてやる。  葵咲の、美しく並んだ歯列を優しく舌先でなぞってから、上顎(うわあご)の裏をくすぐるように舐める。  それに、一瞬びくっと身を(すく)めた葵咲が、さらに深く求めるように理人の舌に自らの舌を絡めてきて。  晩生(おくて)なのかと思いきや、時折こんな風に大胆で貪欲(どんよく)になる葵咲が、理人は好きだった。  葵咲の願いを叶えて彼女の舌と自分の舌をすり合わせるように絡めながら、理人は下腹部ではスキンをしっかりと被せ終わっていた。もちろん、葵咲同様理人も一糸纏(いっしまと)わぬ姿だ。  理人は葵咲の(あし)の間を割るように身体を移動させると、葵咲の膝裏(ひざうら)を抱え上げる。  キスに恍惚(こうこつ)となっていたところへ、いきなり足を広げ上げられて、葵咲は驚いて理人から唇を離すと「理、人……?」と問いかけて下腹部の方を見た。  しかし理人は彼女の意識が下腹部(そこ)へいくのを許さず、葵咲の(あご)(とら)えてもう一度唇を強引に(ふさ)ぐと、それに合わせたように屹立(きつりつ)を葵咲の入り口にあてがった。
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