道場破り

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次の日から学校でつきまとわれた。 「あの、わたくし、実は」 「え、なにかな?」 わざわざ、高校の校舎までやってきたれんこちゃん。まあ、中学の隣にあるけど。 「あなたのことが好きなんです!」 「え、なんで?いつ?え?」 「わたくし、強いお方が好きなのです!」 ええー? そうして、れんこちゃんがつきまとうのが当たり前になった。 「わたくし、お料理もするんですのよ?」 「へーすごいすごい」 もうやめてほしいのに、聞き入ってくれない。諦めが悪い。 「でも、もういいから。僕は別にれんこちゃん好きじゃないから」 「それでもよいのですわ!」 生意気なこと言うなぁ。 このことを、柔道部以外の友人に相談してみた。 「え?お前につきまとってる躑躅?あの子かわいいよなー」 「え、そう?」 「美人だし。何人も告ってるらしいけど?」 「え…んん?」 「武告れば?確実オッケーだし?」 な、なにぃ?告られてるのは僕なのですが? 「れんこちゃん、君もてるのに、なんで僕につきまとってるの?」 「そ、それは…あなたのことが好きだから…ですわ」 少し照れながら言うれんこちゃんを見た。今まで適当にあしらってたけれど… 「な、なにかしら?わたくしなにかおかしくって?」 なんだ、普通の女の子なのか。 「付き合ってあげようか?」 「ま、まぁ!ほ、本当ですの?」 天にも舞い上がるような嬉しそうな顔。あぁ、この子は不器用なのか。勘違いされやすいし、一人で突っ走るのか。 「で、付き合ってなにしたいの?」 「手を…繋いでみたいですわ」 なんだ、簡単だ。そんな簡単なことも言えないのか。練習では肩とか掴んでるのにね。
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