あかずきん?

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あかずきん?

おばあさんの家にやって来たあかずきん。 「おばあさん、体の調子はどう?」 おばあさんが寝ているベッドに近づくあかずきん。 ベッドにいるのが、おばあさんを食べたオオカミだと知らずに。 「おばあさん、起きている?」 「おぉ、あかずきんや、見舞いに来てくれたのかい?」 「?!おばあさん声低っ?!」 「か、風邪のせいだよ!」 「というか、体がずいぶん大きく、、、」 「風邪をひいてから、ずっとベッドにいたから太ったかねー」 「体毛もずいぶん毛深く、、、」 「寒いからね!」 「、、、おばあさん、もっと体を見せてもらえるかしら?」 「、、、いいわよ。 そのかわり、あかずきんお前を食わせろっ!!」 布団を勢いよくはね除け、あかずきんに襲いかかろうとしたオオカミ。 しかし、 「てめぇ、なんだその格好はっ?!?!」 あかずきんは、赤い頭巾にゴーグルとガスマスクを装備し、厚い布地の手袋をした手には注射器を持っていた。 「被験体3201、これはすごいな。新しい症例だ。こんなに体が変貌するなんて!!」 「ひっ、被験体だと?!」 「忘れたのか?お前は謎の病原体に犯され隔離されたことを」 「はぁ?!隔離だと?!オレはそんなババァを食っちまったのか?!」 「、、、食った?」 「ああ、そうだ。オレはババァを食ったオオカミだ。ついでにお前も食おうとしていた」 「お前、被験体3201を食ったのか?」 あかずきんの声は、決しておばあさんが死んで悲しんでいるような声ではなく、状況をただ確認しているような平静さだ。 そして、 あかずきんは懐から小さなマイクを取りだし 「こちら、あかずきん。被験体3201の死亡を確認。いや、病原体によるショック死でも失血死でもない。オオカミに食われたようだ。ああ、まだオオカミの胃の内容物の確認はしていないが。ん?このまま経過観察をしろって?」 やがて、あかずきんは通話を終えると 「オオカミよ、 お前は被験体3201を食った。だから、お前も未知の病原体に感染しているだろう。我々はお前のこれからの症状を観察することにした。」 「おいおいおい、オレはこれからどうなるんだよ?」 ベッドの上で頭を抱えるオオカミ。 「、、、、。」 「おい!!なんとか言ってくれよ!この病気は治るのかよ!薬とかないのか!!」 赤い頭巾を被った少女は何も言わない。 ゴーグル越しに見た少女の目は哀れみがこもっていた。 やがて、オオカミは血を吐き手足がビクビク震え始めた。 オオカミは霞む瞳であかずきんを見続けた。 オオカミの白目は黒く変色し始め血の涙を流していた。 オオカミが何か言おうとしたのか口を開くが、出たの血のかたまりと内臓のようなものだった。 そして、動かなくなったオオカミをそのままに家を出るあかずきん。 家に油を撒き、火をつける。 燃え盛る家を前に赤い頭巾の少女は何を思ったのか。 可愛らしい声がひとこと何かつぶやいたようだが、火で炙られた風にまぎれ誰にも聞こえない。 むしろ、聞くひともいないからつぶやいたのか。 おしまい
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