所有物

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「たってる……」  そう言われて、黒澤の指に先端を淡くなぞられる。  その瞬間、下腹部辺りがきゅんとして美桜はぴくっと身体がゆれてしまった。  思わず声が漏れそうになり、口元を手で押さえる。  黒澤は美桜の胸の形や、感触を確認するようにその大きな手の平で何度も胸を揉み込む。  そして、敏感な先をキュッと摘まんだ。 「……っ!」  さっきまで、柔らかいタッチだったのに、急に強い刺激が与えられて、美桜の背中が反り返る。   「寒いからたってるのか?それとも……」  また、触れるか触れないか……ささやかな感触で、先端に触れる。  触れるか触れないかの感触は、ことさら感覚を敏感にさせられて、美桜は身体がぴくんと反応するのを止めることができないのだ。 「……それとも、気持ちいいからたってるのか?」  その間も、優しく優しく先端に触れられて。  口調は冷たいくせして、美桜に触れるその指先は驚くほど優しい。  目を閉じている美桜には、その黒澤の辿る指先の感触だけをやけに感じてしまう。  ただ、肌に触れているだけ。  ただ、辿っているだけ。  なのに緩く背中は浮き上がり、下腹部がきゅんとする。胸だけで、そんなになるとは思わない美桜はパニックだ。 「分かりません……」  ようやく出た声は少し震えていた。  黒澤がふっ……と笑う気配がする。 「自分のことなのに、分からない訳がないだろう」
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