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お互いの顔がわかるようになると、彼女はこちらの顔を指差して固まった。
「やっぱり! 秋田じゃない!?」
不意に笑顔を向けられる。
おまけにこちらの名字を知っているものだから、二重の意味でドキッとした。
明るい髪色に、虫に刺される心配をしないような薄着の格好。良くいえば着飾らず、悪くいえば危なっかしく思えてしまう。
こういった女性と知り合っていた記憶はないので、不信感が高まっていく。
「そうですけど……えっと、どちら様ですか?」
「三谷よ、三谷。中学くらいまでよく遊んだりしてたじゃない?」
三谷……三谷、聡子。ぼんやりと記憶が戻ってくる。
確か、幼稚園の頃から親繋がりの知り合いだ。三谷がやや気の強い男勝りな性格ということもあり、探検だのゲームだのサッカーだのと、男子と同じようにばかり遊んでいた。
だがそれも中学生の頃──部活やクラスが違ったことや思春期特有のあれこれで、遊ぶどころか会う機会すら段々と減っていった。
つまり、久しぶりというには長すぎるほどの空白を挟んでの再会ということだ。
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