22人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
孤独なダイアン
ぼくは天使ねこダイアン。
ぼくの使命はある女の子に会いに行き、その女の子を心の闇から救い出すことだ。
女の子と出会ったのは、生まれて三ヶ月の時だった。
その頃のぼくはどこにでもいる孤独なノラ猫だったんだ。もちろん生まれた時は、お父さんとお母さん、そして沢山の兄姉がいて、温かな家族に囲まれ幸せに暮らしていたんだよ。
楽しい思い出は、お母さんのおっぱいを兄姉で奪い合いした事かなぁ。
ぼくが兄さんや姉さんを押しのけて、お母さんのおっぱいに強く噛み付くものだから、いつもお母さんに後首を噛まれて叱られていたっけ。
あれだけお母さんに噛み癖を叱られたのに、ぼくは今でも相手に愛を感じるとパクっと甘噛みしてしまうんだ。
えへ、噛み癖はぼくの愛情表現さ。
ところでぼくは生まれながらのノラ猫だったけど、お母さんは昔、人間に飼われていて、とても大事にされていたらしい。
ところがある日、車で遠くにドライブに連れて行かれ、そのまま置き去りにされてしまったんだ。人間の都合でお母さんの存在が邪魔になったらしいよ。
人間てまったく身勝手な生き物だね。
優しく繊細なお母さんは、すぐに自分が飼い主の邪魔になったのだと気付いたんだ。でもお母さんはその飼い主を恨まなかった。それどころか飼い主が少しの時間でも自分を大事にしてくれたことに感謝したんだよ。
お母さんは飼い主に迷惑をかけないように、家と正反対の方に向かって歩き続け、できるだけ遠くへ行こうとしたんだ。
ぼくのお母さんはほんとに愛に溢れた猫だったんだね。
最初のコメントを投稿しよう!