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それから10年が経った。
サキは就職し、そこで出会った男性と結婚していた。絵を描くことも観るとことも辞めた。
あの場所に友人を置いていってしまったことは後悔してもしきれなかった。
ーーハナはその後、行方不明になってしまったのだ。
あの屋敷のことは警察にも伝え、自分でも何度も訪ねたが見つけられない。街の人は誰も美術館のことは知らないと言う。
彼女の無邪気さや、才能や、美しさを思い出そうとする。
白い布に覆われたハナがリアルに想像できた。
芸術を愛する男は、今もたくさんの人形と共にハナを愛しているのだろうか……。
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