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カーテンを開ける。
いきなり飛び込んできた朝陽に、思わず目をつむる。
「眩しいよ」
ベッドの中から、ちょっぴり不機嫌な声が聞こえて振り返った。
「ごめん」
「おいで、仄香」
慎之介が、ベッドの中から手を伸ばす。
「いいお天気よ」
「日曜日だぜ?」
うん、と頷いて仄香はベッドに近づく。
その左手首を乱暴につかむと、慎之介は仄香をベッドに引き入れた。
「小麦が、見てるよ」
そう言った仄香の唇をキスでふさいでから、慎之介は言った。
「猫に見られるくらいなんだよ。いつものことじゃないか」
そう言って覆いかぶさる慎之介の背中越しに、茶トラの小麦がきちんとお座りしてこちらをじっと見ているのが見えた。
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