災厄が過ぎた後

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 私が東京にある雑誌編集部のオフィスにどうにか到着した時、防災服を着た中央大臣による記者会見が休憩スペースのテレビの画面に映し出されていた。テレビのそばにあるソファーに座りながらテレビを観ていたのは、いつもより早く出勤したせいで眠たそうな編集長と、徹夜したせいで同じく眠たそうな副編集長だった。  「戻りました、編集長」  「おう、急に呼び出してすまんね」  「いえいえ」  副編集長が私に言った。  「怪獣は相模川沿いに北上しながら周辺の街を破壊し、東京都西部の住宅街で軍の攻撃を受けて倒された。詳しい事は後でメモするから、被災地が今どういう状況か色々写真に収めてくれ。緊急で組んだ取材班がとっくの数時間前に向かってるから、彼らに助けを借りるといい」  「わかりました」  駐車場に停めていた愛車のオートバイに乗って向かったのは、東京都西部に位置する某市だった。道中ですれ違う国防陸軍の軍用車両とパトカー等の緊急車両の車列や道路端に乗り捨てられた自動車の数々を見てこれから向かう被災地の深刻度を自分なりに想定はしていたが、某市に入って目の当たりにした光景は想像を超えていた。  道路沿いにあるほぼ全ての建物が爆弾で吹き飛ばされたかのように全壊しており、かつて取材した中東の紛争地帯の瓦礫と化した街を思い出す様相だった。道路上に散らばっていたとされる瓦礫が道路脇に無造作に寄せられており、ブロック片と化した電柱や何らかの建物の外壁など無造作に積み上げられていた。  酷い状況だ……っていうか、酷いっていう単語じゃ表現しきれない――私は、壊滅状態の市内を走り続けた。
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