初恋

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というわけで私は夕飯のあと歯を磨いてコンビニに出発。学校帰りに覗いた時は店内に新太はいなかった。パートらしいオバサンが2人いただけ。 「いらっしゃいませ」 店に入ると客が3人いてレジにいたのは新太のママ。 「あら亜矢ちゃん」 「こんばんは」 「いらっしゃい」と笑顔で言う新太ママの後ろから、 「お、こんばんは」と新太のパパも来る。奥から出てきた。 「こんばんは。アラニイいます?」 「あ、今こっちにいない。家じゃないかな」とママは上を指さす。 「そうですか。ありがとうございます」と私は店を出て外へ。 マンションの出入口はコンビニの脇にある。自動ドアを入って進藤家のある2階へ。私はいつも階段を使う。新太は「常にエレベーター」と言っていた。「1階ぐらい歩きなさいよ」と言っても「せっかくあるんだしもったいねーだろ」と言い返した。新太のくせに生意気な。 ちなみに呼び捨てはふたりの時だけで新太のパパやママの前では「アラニイ」と呼ぶ。昔はあだ名で「シンシン」と呼んだ。進藤と新太の最初の字を音読みで「シンシン」 「俺はパンダか」と新太は嫌がって「やめろ気持ちワリィ」 それがおもしろくて私はしばらく続けたけどもう飽きた。 2階の通路は静かで進藤家の窓には電気。インターホンのボタンを押すと中でチャイムが鳴る。でもノーリアクション。ドアはあかない。いないはずないよね? 電気は点いてるしまだ8時すぎで寝てるわけない。お風呂? ボタンを連打するとやっとあいた。    *** 小説【 初恋 】を収録した短編集は電子書籍で発売中です。作者の自己紹介、または「あらすじ」の下部にあるHPから購入サイトにお進みいただけます。ぜひ。
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