寸前クラッカー

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「違うよ」 「「え?」」 「元カレだよ」 「「……は?」」 「3ヶ月前に別れたし、昨日吹っ切れたけどね」 「「はぁあああっ?!」」 ぴったりとハモっているふたりがおもしろくて思わず笑った。そりゃあもう盛大に。 「ちょ、ちょっとちよちゃん待って? そんなのひとっこと聞いてないよお!?」 「ていうか付き合ってたなんて知らなかったんだけどどういうことっ? 全部吐け!」 正反対なふたりの友人が慌てたように私の肩を掴んで前後にすごい勢いで揺すってくる。もう吹っ切れたこころがそうさせるのか、笑顔が絶えそうにない。 それでいい。 爆発寸前だった恋心は穏やかに形を変えた。それはたぶん完全に消えないと思う。消えない代わりに、友情としてのものに色付く。 ねぇ、光。 だから、ぜったい、幸せになってよ。 その時はいちばんに “ おめでとう ” って、いつの日か光がすきって言ってくれた笑顔で言ってみせるから。 私、あんたをすきになれて、本当に良かった。 【完】寸前クラッカー
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