寸前クラッカー

3/14
前へ
/14ページ
次へ
□ □ □ 「ねえ、千頼(ちより)」 中庭の木陰のしたで、照れ笑いをする男と、彼に寄り添う小柄な女の子がたのしそうに笑っている。 “ お似合い ” 校内で噂されているふたりに、みんな口を揃えてそう言うし、私ももちろん祝福してる。 ……心の底から。 「千頼ってば!ちゃんと聞いてんのっ?」 「あああうん聞いてるよ」 ぼーっとしていたことがどうやらバレていたらしい。視線を上げた先で友人の怒り顔が歪められていた。 「あらあら〜嘘はよくないよ、ちよちゃん。全然聞いてなかったでしょお」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加