寸前クラッカー

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彼が眩しいほどにまっすぐな笑顔を浮かべて、その言葉を紡いだ時、目元が熱くなって熱くなって、訳も分からない涙で視界が滲んだ。 だって、だって、本当は “ おめでとう ” って言って欲しかったわけじゃなくて。 自分がたのんだことだけど、本当は私が伝えたくて、悩んで、本当に言いたいことなんて腐るほどにあって。 ずっときれいでうつくしい想いだと受け止めていたものが、いとも簡単に醜くなって原型なんて曖昧で、彼のせいでもう愛なんて呼べなくなった。 もう、言えない。 もう手に届かない。 …もう、戻ってこない。 わかってるよ。 だって……、言ったのは。 あの日、 『隣にいなくていい』 って、彼に言ったのは私だから。 「なんで泣いてるの? 誕生日だろ?」 「…うっさいなぁ、バカ」 「心配してんのにこの仕打ちってどうよ」 心配なんてしなくていいよ、って言いたいけど、飛び出るのは悪態。呆れさせたかな? なんて手遅れにも程がある。不器用すぎて自分がアホだ。
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