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周りを見渡せば、同年代もしくは年下の女の子ばかりだ。
皆おしゃれで可愛くて、あたしは徐々に憂鬱な気分が晴れてくる。
遠目にメニューを見ながら、友維とタピオカって言えばやっぱミルクティかな、でもベースの飲み物いっぱい種類があるね、などと話していると楽しくなってきた。
「晴れてよかったね~、これ雨だったらつらみ」
「それな。結構気温も上がってきたし。最高じゃね?」
そんな会話をしながら待ってやっと順番になり、友維は抹茶ミルク、あたしはフルーツティーのタピオカを注文する。
お店のお姉さんからカップを受け取り、道端に避けて太いストローに口をつけようとしたとき、いきなり手首をつかまれ「お…寿々っ?!」という驚いたような声が頭上でした。
あたしはビックリして顔をあげ、あたしの手をつかむ、目の前に立つ男の人を見た。
全体に長めの黒い髪に、赤いメッシュが一筋、顔の横に流れている。
整った顔立ちのその人は、カラコンのレンズが落ちるんじゃないかと思うくらいに目を見開き、口を半分開けてあたしを凝視している。
えっ、なに…??
あたしは恐怖で咄嗟に手を引こうとし…
その人の顔に、誰か懐かしい人の面影が重なるような気がして思わず動きを止める。
「あっ…?!」
あたしは、その人の名を呼んだ。
「康士さま…?!」
その刹那、世界が真っ暗になった。
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