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私は娘の麻衣子や孫たちに看取られながら、90歳の人生を終えたはずだった。稔は5年前に亡くなったが、それなりに幸せな人生だった。
私は眩い白光に包まれているのを感じた。そして私からも光のシャワーが溢れていた。
「ここはどこだろう?」
疑問に感じていると、穏やかな『声』が語りかけてきた。辺りには誰もいないのに、『声』だけが私の頭に響いている。
『どうして侑樹くんと結ばれなかったのですか? 前世からの因縁を断ち切り、彼と結ばれる為にあなたは生まれたというのに……』
私はハッとして思考が止まった。
「えっ? どういう意味ですか?」
私は聞いた。
『どうもこうも何も……。もう一体、何回生まれ変わっているんですか? 今回もあなたは彼と結ばれる為に生まれました。でも誰かの胎内にあなたの命が宿り、産声を上げた途端にその使命を忘れてしまうのですから、仕方ないかもしれませんが……』
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