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「今、家ですか?」
僕は電話を切り
走った。
貴女の家へと向かうために。
遠く離れてしまったとしても
貴女のことは忘れられるはずなんてないのに
だったら自分から気持ちを伝えるべきだった。
なんで、なんで、自分から言わなかったんだろう。
貴女の家の近く
大きな川に架かる橋に差しかかったとき
貴女の姿が見えた。
走るのをやめ
呼吸を整えて
ゆっくりと近づく。
僕を見つめる貴女の瞳は潤んでいた。
僕の腕は勝手に動いて
貴女を抱きしめていた。
「ありがとう。
僕も好きです。
言いたくても言えなかった。
ゴメン。
……先に言わせてしまってゴメン。」
貴女は首を横に振る。
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