ショウマストゴーオン 6

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ショウマストゴーオン 6

ショウマストゴーオン 6 教会の帰り道、ちょっとだけ遊んで行く事にした。 銀はあらゆるカフェやレストラン、居酒屋の前で立ち止まり入りたそうに地団駄を踏んだ。やっぱり奴はてるれびじょんの悪影響を受けていた。 でも絶対べたべたしてくるのは判っていたし、それはるうさんしかいない屋敷でならともかく、普通の人だらけの街で許されるようなレベルの接近度ではないようにオレには思えた。 「銀、こんな人がたくさん居る所やめようよ!えと……二人きりの方が楽しいよ?」 カフェに入り込もうとした銀にとにかく焦り、オレは咄嗟に言った。すると、銀はきょんとオレを見返し嬉しそうに頬を染めた。 「えッ、うん!デート?」 「まあね……」 そうですデートはなにもいいとこで御飯を食べる事だけじゃないんだよ、とオレがゆっくり言ってやると、銀はにやけながらふぅん、と納得した。 二人きりなんていつも屋敷でそうじゃないか、なのに銀はうきうきとし、手を繋ぎたそうに無意味に動かした。こないだオレが怒ったのであまり強引な事はしなくなったが、それでも気を引きたそうにするのが見え見えでまず恥ずかしい……。 でもって、どこへ行こうか迷って結局こども動物園に行く事にした。お店で御飯を食べたり、映画館で何時間もじっとしているのは、銀はできると言ったけど、オレの見た所まだ銀には難しそうだったからだ。 外ならばはしゃいでてもあまり怪しまれまい。二人でのろのろと動物園へ歩きだした。 オレは、こども動物園ではコアラも虎も居ないという事にがっくりしながらもカンガルーを眺めていたが、銀はどの檻にも張り付くようにして覗き込んでいたので、何か珍しいものでもあるかと気になって側へ寄っていって見ると銀は笑いながらこう言った。 「あのね、この人、龍を見るの初めてだって。どうしてこんな所に龍が居るのかって」 銀は檻の中の孔雀と会話していたのだ。 「皆、この人が僕のご主人様!とっても可愛いでしょう!」 オレは胃が浮き上がりそうになり、奴に蹴りでも食らわして逃げようかと思った。 銀はあるいはそんな気はなかったのかもしれないが、身分の低いオレをわざと持ち上げてるようであまり嬉しくは無かったのが正直な所だった。 銀はその後もしばらく檻の前で孔雀と会話していたが、やがて気が済んだのか手をひらひらと振った。 「じゃあねえ。また来るね」 孔雀は美しい羽を広げてオレをじろじろと見、他の動物達も珍しい龍と人形の組み合わせに興味深々の様子で、オレは逆に閉じ込められた動物になった気分で縮こまってたくさんの檻の前を通りすぎた。 「何故龍がお人形の子にお仕えしてるの?って聞くからいいえ僕達は恋人同士……あ、いや、僕が好きで無理にお願いして側に置いて貰ってるんだってゆったの」 銀は先日オレが言った事を相当気にしたらしい。今も本当は恋人だと言ったのだろうが、オレが怒り狂うと思ったのか誤魔化した。 「ねえ、僕おつかいできてえらい?偉いでしょ!」 オレが一応いいこいいこしてやると、銀は動物らしく目を細め、喉をゴロゴロ鳴らした後意気揚々と、 「また何かおつかいしよ!僕できるよ」 と返した。でもオレ遠くに用事がある訳でも誰かを呪いたい訳でもないからなあ。 「ケイご褒美頂戴!ケイがいい!」 オレがその言葉を理解する間、銀はじいっとオレの唇を見つめ続けた。 「駄目!外でそういう事はしないの!やだ!」 「えー嫌じゃないんでしょ?お屋敷に帰ってからなら良いの?悪魔さんが無理にしたらよくなるって」 あの淫魔! 長話は魔界の思い出話じゃなかったのかよ! 「一人でおつかいできなきゃ式神として使えないよ、まだまだだね!それまでご褒美はあげない!」 オレが言うと銀は瞬間怯んだ、先日喧嘩した事も思い出したのかもしれない。 キス一つでけちけちするなと言われそうだが、もったいぶれる間はそうしようと思ったのだ。どうせそのうち全部あげたくなる時が来るのだろうから。
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