革命前夜

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 元々、ワンダーラは地域によって食べ物も気候も大きく違っている。北側は小麦。南は米を主食にしている。各地方の部族の言語も異なっており、一応、ワンダーラの王都の言語が公用語として存在しているものの、地方ごとに違う言語が使われてきた。これでは不便だということで、総督は、アリアンヌの文字を共通言語として子供に教えるようになった。そして、各地の新聞も、アリアンヌ語で記事を書くようにと、お達しを出した事によって、ワンダーラの司祭といった知識層のプライドを傷つけたようである。  それとは別に、荒地が広がるシータでは別の不満が噴出していた。彼等は幼い子供を隣国に売買することで生計を立てている。それを禁止されたことに苛立ち、アリアンヌの司法組織と対立するようになり、そして、今夜、ついに、怖れていたことが起こってしまっている。 『主権を取り戻せ! アリアンヌ人を皆殺しにしろ!』
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